ワークビザ・永住権の超厳格化!新基準から考えるべきこと

 

本記事は2017年8月28日以前の状況の記事です。

2017年8月28日に移民局の告知通り新移民法が施行されました。Essential Skills Work Visaの変更点は下記の記事ににて確認できます。(2017年8月30日編集)

移民法が改正!?ワークビザ基準変更の真実がヤバすぎる!

2017.08.19

 

 

ただ、「ワークビザ」や「永住権」という言葉にピンとこない方については理解に役立つ記事となっておりますので参考までにどうぞ。

※2017年8月30日追記


 

 

ニュージーランド移民局(immgration)は、2017年に入って初めて「Essential Skills Work Visa(ワークビザ)」「Skilled Migrant Category(技能移民カテゴリー:略称SMC)」の申請要件(ニュージーランド移民法)を見直す決定を行いました。昨今のニュージーランドへの移民の激増を受けて基準は厳格化されつつあり、2017年8月28日に改正移民法が施行されました。結果、基準がそれまでより大幅に厳格化されました。

 

まず、そもそも「Essential Skills Work Visa(ワークビザ)」、「Skilled Migrant Category Residence Visa(技能移民カテゴリー:略称SMC)」ってどういうビザなのでしょうか?この話題を読み解くには必須の知識だと思いますので解説していきます。

 

 

 

実は数十種類あるワークビザの申請

 

滞在ビザに関する話題は、NZでワーホリ生活や語学学校などで勉強をしていれば必ず耳に入ってくるネタの一つです。そういう現地生活歴が短い人が集う環境では

 

「永住権」、「ワークビザ」と、

 

一言であたかも一つしかないかのように言い方をする人が多いのが現状ですが、実際はメジャーなワークビザ申請からマイナーなワークビザ申請まで数十種類のワークビザ申請が存在します。

 

試しに移民局のHPにアクセスしてみましょう。

https://www.immigration.govt.nz/new-zealand-visas】:Immigration NZ

 

赤丸部分をクリックすると、写真のページが表示されます。

https://www.immigration.govt.nz/new-zealand-visas】:Immigration NZ

 

各種ビザ申請の情報を確認できるページです。赤下線部の選択タブから【Work】を選ぶと4種類のカテゴリーに分かれていますので、【Job offer】を選択していきます。

 

https://www.immigration.govt.nz/new-zealand-visas】:Immigration NZ

 

3つ目の選択タブには10種類くらいのワークビザ申請が表示されています。その中に今回2017年4月に要件が変更されるとされている「Essential Skills Work Visa(ワークビザ)」、「Skilled Migrant Category Residence Visa(技能移民カテゴリー:略称SMC)」を見つけることができます(下写真)。

↑【https://www.immigration.govt.nz/new-zealand-visas】:Immigration NZ ↓

 

今回基準が変わるとされている双方のビザは、「Work Visa」という大きなくくりの中の「Job offer(雇用主からの正式な就労のオファー)」が必要とされる申請のグループに属するビザになります。申請には既にフルタイム以上での雇用が前提となるため、どちらも就労先が確定していない段階では申請できないビザです。

 

 

Essential Skills Work Visa(ワークビザ)

 

ワーホリでNZにきて語学学校を卒業し、ウェイター・キッチンハンド・ホテルのハウスキーピングなどとして残り期間で働いている場合を例に考えてみます。ワーホリの期日が近づいてきている中でもう少し滞在して働きたいと思うようになったとしましょう。こういったケースで就労先のレストランやホテルから就労ビザを出してもらえる!!…となった場合に多いのがこの「Essential Skills Work Visa(ワークビザ)」です。

 

 

★2017年8月27日までは原則1年〜5年の期間で発行されます。職業には「Skill Level」が1〜5まで存在し、数字が小さいほどレベルが高いとされています。期間の長さは職業レベルと密接な関係があります。先ほどの例のような、特別な資格もない一介の労働者レベルだと1年であることが多いです。更新は必要性が移民局に認められる限り原則何度でも可能でした

※2017年8月28日に改正移民法施行

※変更された項目は本記事後半に記載しております。

 

 

Skilled Migrant Category Residence Visa(技能移民カテゴリー)

 

「永住権」と言っても申請の窓口は一つではありません。

 

一定額以上の金額をNZに投資していれば申請できる「投資家部門」、NZ人と結婚したりした場合に申請できる「パートナー申請」、牧師さん・宗教職の人が申請できる「Religous workerのカテゴリー」など実はいくつかあります。移民局が定める特定の技能を有している場合に申請の可能性がある、この「技能移民部門」も永住権というカテゴリーの中の一つになります。

 

ニュージーランドは毎年人口流出が多い国です。特に医療系、金融系の専門職は国内で勤務するよりもオーストラリアや欧州で働く方が賃金が高い現実があります。また、最低賃金も2017年現在(豪)$17.70、土日勤務で(豪)$20以上を超え、祝日だと(豪)$30以上に至るなど、ニュージーランドの労働状況と比較しても明らかに給料が高いので出稼ぎに行ってしまう人も多い背景があります。

 

そんなニュージーランド人の穴を埋めるべく、ニュージーランドの移民の受け入れはアメリカやカナダなどと比べると緩くなっています。2000年の人口は約385万人程度でしたが2017年現在では約480万人です。この20年くらいで100万人近く増加してきていましたが、アメリカのトランプ大統領の「アメリカファースト」の政策の流れを受け、「ニュージーランドファースト」に舵を切る形となりました。

 

なんとなく2つのビザの種類やこれまでの流れをイメージしていただけましたでしょうか(^^)

 

 

 

Skilled Migrant Category Residence Visaの流れ

 

細かな部分も含め様々な変更点がありますが、「賃金」が最も大きい変更点であると考えられます。

 

賃金

・これまでは、移民局の提示する「技術職」に該当する人であれば可能性がありました。しかし、2017年8月28日より最低年間給与NZ$4万8859の基準が設定され、該当職でもこの基準がないと申請資格すら得られないことになります。

 

・2017年8月28日の施行予定の改正移民法によれば、年間給与NZ$7万3299以上であれば、職種に関係なく「高技能職」の認定を受けることが可能になります。下限を厳しく、しかし上限の基準は賃金面を除けば若干緩和されたという見方もできます。スキル・経験が豊富でかつ、利益をもたらすことが可能な人材がより強く求められる結果と考えられます。

 

・加えて、ポイントシステムの配点割合も変更になります。

 

 

僕の周辺では

2017年3月、知り合いで「Baker(パン職人)」としてこのビザを取得したインド人がいます。「寿司シェフ」としてこのビザを取得しレストランで働く日本人もいます。しかし、パン職人や寿司シェフが年収NZ$4万8859以上ももらうことができるのでしょうか。1日8時間週5日で40時間働くと、48週間(1年)で1920時間と成ります。そうなると最低でも時給約NZ$25.45が支払われることが必要です。職種に関係なく高技能職と認定されるための時給は約NZ$38.15。祝日に勤務すれば時給がこれに1.5倍増し、加えて有給まで付与されます      ※最低賃金は$15.75

 

高技能職というか…

高スペック人材認定ですね..。会社では自分の給料の3倍売り上げて1人前なんて言われます。この考えを前提にすれば、会社に最低でも年ベースNZ$22万(実際には約4倍のNZ$30万くらいだろう..)くらいの売上をもたらす、もしくは同様の経済効果をもたらすことが必須になるでしょう。

 

もしくはよっぽど会社の業績がいいかのどちらか。

 

昔、日本で営業していた時代、年3000万円売っても月収25万円(年収315万程度)でしたけどね…、売っているものの原価率にもよるんでしょうが…。そう考えると遠い夢のようにも思えますね。

※2017年7月3日追記

 

 

 

Essential Skills Work Visaの流れ

 

2017年8月28日において、Essential Skills Work Visaのパートナー制度が厳格化されました。移民局の発表によれば「Lower Skill」のEssential Skills Work Visaのパートナー制度に大きな変更が加えられています。

 

パートナー制度とは

「Essential Skills Work Visa」は、通常申請者本人のみが対象となるワークビザです。例えば、奥さんと3歳の娘がいる父親がこのビザを申請したとしましょう。この場合このビザが対象にしているのは、申請している父親のみです。この父親が申請している「Essential Skills Work Visa」に家族を含めることはできません。

 

では、このビザを申請する場合は必ず家族と離れ離れにならなければいけないのか….というとそうではありません。別にパートナー制度が存在します。

↑ NZ Immigration:【https://www.immigration.govt.nz/new-zealand-visas/apply-for-a-visa】↓

 

別途ペートナー申請をして認められれば、家族などを帯同させることが可能となります。ただ一緒に過ごすだけではなく、父親の「Essential Skills Work Visa」の期間中なら奥さんはどこでも働けたり就学したりすることも可能なビザです(Openなビザ..と表現されます 。)

一方、「Essential Skills Work Visa」はビザサポートを受けた就労先でしか働けず、掛け持ちや副業(複業)ができません。パートナービザはかなり優遇されているといえるでしょう。

 

 

 

この変更による狙いと、考えられる今後の流れ!

 

  • NZで不足する真に必要とされる技術を持った人を確保するため
  • 移民者・永住者の質を上げるため
  • ニュージーランド人ファースト

GEKKAN NZ:【http://www.gekkannz.net/archives/20224

 

今回の変更における移民局の狙いです。この他にも、雇用主側が安い労働力(主に移民)に過度に流れることの抑制も含まれます。変更における状況の変化にはどのようなものが考えられるかが気になりますのでシュミレーションしてみましょう。

 

 

 

SMC基準変更における雇用主の心境変化の可能性

ニュージーランドの最低時給は2017年4月1日からNZ$15.75となりました。2008年頃と比べれば約2倍の水準。しかし、経営者からすれば払う賃金が無条件に高くなり人件費が高騰します。実は経費を考えると非常に頭が痛い状況が続いていると言えます。

 

例えば、ステーキレストランを想像してみてください。キッチンとホール合わせて10人のスタッフが常時働きます。彼らの稼働が1日6時間、全員同じ$15.75の給料と仮定して1日の人件費はNZ$945です。1ヶ月でNZ$2万8350となります。これが2014年10月の段階では最低時給が$14.75で、月NZ$2万6650が人件費となります。その差額NZ$1700…何もしないで月の負担がこれだけ増えるとキツイ!!でも実際はシェフやマネージャーが最低時給で働いているなどはありえません。これに加えて有給、祝日の割増賃金などを考えれば更に人件費は高くなります。それに、食材の値上げ、配送料の値上げ、テナント料の値上げ、電気・ガス代の値上げなどが重なる可能性も十分あります。更に税金の支払い…一体いくら手元にお金が残るのでしょう。  ※実際にクィーンズタウンで当然のように見られる状況です

 

 

普通の神経をしていれば、よっぽどスキルが高くて賃金の何倍以上も売上を持ってこられるSMC保持者以外は雇いたくありませんし、雇う価値がないと考えます。最低時給NZ$15.75に対して最低でもNZ$25以上の時給を保障しなければならないのですから当然でしょう。単価が更に安くて済む「Essential Skills Work Visa」保持者で代替しようと考えるのが当たり前と言えます。下手に労働組合の影響が考えられ、給料も保障しなければならないNZ人よりもよっぽど使い勝手が良いと言えます。

 

となれば「Essential Skills Work Visa」にも何らかの最低年収の基準規定など具体的な厳格化が盛り込まれる可能性があると考えるのが妥当ではないでしょうか。でないと、NZ人の人件費も移民など安い労働力に買い叩かれる結果が予想されますからね。しかし、現場の多くは人手不足が指摘されており、このワークビザまでに抜本的なメスが入ることに反対する産業もあります。

 

 

一方、NZの労働組合は最低時給をNZ$20以上にしたいみたいですが、そうなれば結局従業員を抱える雇用主が減少することが予想されます。水面下で最低時給を支払わない事業者も出てきます。更に、様々な分野でインフレが発生するのであまり意味がない。最低時給は上昇させつつインフレ率の調整や家賃の決定に関する法律を同時にしっかり整備すべきなのが本来あるべき姿です。それがうまくいっていないのがオークランドやクィーンズタウンの不動産価格に反映されていると感じますね。

 

結局、国も経営者サイドに最低時給増加を押し付けるだけしか大した施策ができていないと言えます。本当に国力を上げたいのなら自国民の教育・経験値向上に最も力を入れ、国民の負担を減らし、可能な限り福祉サービスを拡充して暮らしのサポートをし、経済的に少なくとも不安を少ない状況にすることが近道だと個人的には思うわけです。

 

結局、2017年8月28日に従来の基準よりも厳格化された新基準が施行されました。ワーホリからワークビザ、ワークビザから永住権などといった流れが8月28日以降困難になってしまいました。

 

 

まとめ

 

安易で漠然な「海外生活」ではなく明確なスキルと目的が必要な「海外生活」に変わっていくでしょう。「厳格化の前の駆け込み申請」や「厳格化にどう対応するか」という記事がネット上では大半を占めるように感じます。肝心なのは、自分はどう生きたいのか。場所ってあまり関係ないように僕は思っていますけどね(^^;)

 

文字通りのワーホリ時代に突入しそうな予感

Working Holiday..バケーションに訪れた際、不足が見込まれる必要資金の足しにするため、訪問した国で働くことが認められるのが元々のコンセプトだったはずです。これがいつの間にか、就労ビザや永住権への登竜門としてのWorking Holidayになりつつあったのでしょう(その多くは某餃子の国と某カレーの国ですが..)。

 

永住権、ワークビザの基準が厳格化されることで登竜門としての意味合いが薄まりつつあります。自分の仕事のスキルをうりにしてNZの長期滞在を目指すには、相応の実力と相当の覚悟が必要となることでしょう。「なんとなく」などと安易な気持ちの者の多くをふるいにかけられるという意味では、基準変更は成功ではないでしょうか。

 

 

永住権や就労ビザを希望する人が、「自分の人生の中で、本当は何を望んでいるのか」考え直すいい機会ではないでしょうか。

 

※2017年7月3日追記

 

本当に今したいことは「ニュージーランド」でなければできないことでしょうか??世界が自国民ファーストの流れなら、日本人である我々も日本人ファーストを貫ける強さを獲得し、主張できる強固な自分を作ることが近道です。そのためには自分の能力を高め、行動を起こすことが第一!!会社やカテゴリーに依存するだけでは生きることが難しい時代になってきたのかもしれませんね。

 

 

それでは、今日はこの辺で!!See you next time!!(^^)

 

 

 

 

参考記事一覧

 

 

・難民申請の偽装申請

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12267258166.html】:by 三橋貴明

→経済評論家目線として、今回のオーストラリア・ニュージーランドの移住ビザ要件の厳格化について記事にされています。非常に興味深い内容です。

 

 

移民者・永住者の質を向上へ、移民規定を変更

http://www.gekkannz.net/archives/20224】:by GEKKAN NZ

→簡潔に事実のみがまとめられている650字程度の記事です。概要だけサクッと掴みたい方にはオススメの記事となっております。

 

 

ビザ厳格化、豪・NZにも波及

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM19H53_Z10C17A4FF1000/】by 日経新聞

 

 

Govt proposes tightening work-visa rules

http://www.radionz.co.nz/news/top/329061/govt-proposes-tightening-work-visa-rules

 

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